6:1本だけオバケ
いわゆる「一本だけオバケ」について解説をします。「一本だけオバケ」の怖さはあちらこちらに書かれておりますので皆さんも、よーくご存じだと思います。何ヶ月経っても何年経っても、必ず「一本だけオバケ」がでます。なーんでもないような時に、ふとでてきます。「まあ一本ぐらいなら、いいかなぁー」これで全てが終わります 。「まあまあ、どうですか?一本。一本くらいいいじゃないですか?」これで今までの苦労が水の泡です 。「おい、君。いいじゃないか。一本くらい」これでヘビースモーカーの出来上がりです。「一回できた卒煙だ。すぐにまた出来るさ」出来ません。 卒煙して1ヶ月しても半年経っても1年経っても一本でも吸ってしまえば一瞬で元通りのヘビースモーカーに逆戻りです。しかし皆さん。ここで、よーくよーく冷静になって考えてみてください。実はこのことは、極めて重要な事実を物語っているのです。それは、どんなに時間が経っても、タバコを吸っていた人は「タバコを一度も吸ったことのない人」には決して戻れないという厳然とした事実です。タバコを一度も吸ったことのない人(喫煙未経験者)が、たったの一本吸っただけですぐにヘビースモーカーになることはありませんし、ましてや禁断症状がでるような事もありません。「卒煙したんだから喫煙未経験者のようになったはずだ」と思いたいところですが、事実を事実として受け止めないと再入煙してしまいます。このあたりが卒煙たる所以なのです。元々幼稚園に通っていたという経験そのものを消し去ることはできません。では、なぜ卒煙して何ヶ月も何年も経つのに「一本だけオバケ」が突然出てくるのでしょうか?理由は、二つあります。一つは、「記憶」です。そしてもう一つは、「副流煙(受動喫煙)」です。 「記憶」のほうは、前章までに説明しました。ストレスがかかったとき。極端に落ち込んだり、悩んだりしたとき。そして、ホッとしたとき。卒煙前そのような状況では、「タバコを常習することが原因のイライラ」が非常に強く出てきていたのです。これは同時に「タバコによって解消されていた」ため、その時の記憶が、あなたの心の奥底に非常に強く残っています。この「記憶」がストレスなどで呼び覚まされたとき、「一本だけおばけ」となります。しかし「記憶」による「一本だけオバケ」は、卒煙して以来ずっと経験してきたことですし、吸いたい理由が自分なりに理解できるので実はたいした問題ではありません。問題なのは「副流煙(受動喫煙)」のほうです。時折マスコミなどで「副流煙」による健康被害などが問題にされていますが、もっと深刻な問題は、「副流煙」が引き起こす「一本だけオバケ」 のほうです。原理は単純です。上に述べたように、卒煙者は、わずか一本でも吸ってしまえば元のタバコ脳に戻ってしまうポテンシャルを保持しています。その卒煙者が、フィルターを通さない濃厚な「副流煙」を吸ったらどうなるでしょうか?答えは言うまでもありません。「魔の3日間」に逆戻りです。禁断症状は数時間後から数日後に遅れてやってくるので受動喫煙したことと「今吸いたい」という気持ちとは中々結びつきません。ましてや、あなたが煙草を吸ったという事実はないのですからなぜ今こんなに吸いたいのかは、全く理解できないことになります。副流煙は当然ながら喫煙未経験者にも作用しており、喫煙者予備軍を多量に生み出していることも指摘しておきます。タバコを吸う人が、タバコを吸う人を生み出しているのです。比較的多量の受動喫煙をしない限りこのような事は起こらないとは思いますが、 とにかく吸わないことです。喫煙していたあなたには喫煙している知り合いが多いと思います。こうした人たちを避けることはありませんが、とにかく吸わないことです。その気になって自分の周りを見渡してみると、受動喫煙の元となる副流煙はあちらこちらにただよっています。飲み屋さん、パチンコ屋さん、職場などなど。これらを全く吸わないというのは困難なことかもしれません。 が、空気感染するインフルエンザの一種と考えてください。 タバコを吸わない人になるのには大変な苦労と月日がかかりますが、タバコを吸う人に戻るのは一瞬です。くれぐれも、ご注意ください。
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